
中国茶器は、中国茶の香りや味をより楽しむための道具です。茶壺や蓋碗、茶杯など豊富な種類があり、さまざまな役割や使い方があります。家庭では日本茶用の急須や湯呑でも十分ですが、茶葉が本来もつ香りや味を引き出したいなら、中国茶器を揃えるのがおすすめです。今回は、中国茶器の種類や中国茶のおいしい淹れ方について解説します。
【目次】
中国茶器とは
中国茶器の種類
茶壺(ちゃふう)
蓋碗(がいわん)
茶海(ちゃかい)
茶杯(ちゃはい)
聞香杯(もんこうはい)
茶荷(ちゃか)
茶盤(ちゃばん)
中国茶の淹れ方
1. お湯を沸かす
2. お湯を使って茶器を温める
3. 茶壷に茶葉を入れて、温める
4. お湯を注ぎ茶葉を蒸らす
5. 急須からお茶を注ぐ
中国茶を美味しく淹れるポイント
烏龍茶を淹れるときは沸騰している100℃のお湯を用いる
蒸らし時間や茶葉量は測っておく
中国茶器の買取なら永寿堂へお任せください
まとめ
中国茶器とは
中国茶器は、普洱(プーアル)茶や烏龍(ウーロン)茶など、中国茶の香りや味をより楽しむための道具です。日本の茶道具から発展したものや中国茶専用のものなど、さまざまな種類があります。中国内においても、地方によって使用する道具が異なることも多いです。
中国茶を家庭で気軽に楽しみたい方は、以下の中国茶器を買い揃えましょう。
- 茶壺(ちゃふう)
- 蓋碗(がいわん)
- 茶海(ちゃかい)
- 茶杯(ちゃはい)
- 聞香杯(もんこうはい)
各道具の詳細については後述します。
中国茶器の種類
自宅で手軽に楽しみたいなら急須と湯呑だけで十分ですが、本格的に中国茶を淹れたい場合は中国茶器を揃えるのがおすすめです。
ここからは、どのような中国茶器があるのか見ていきましょう。
茶壺(ちゃふう)
茶壺は、日本でいう「急須」です。
中国では、一度に飲み切る量だけ抽出できる小ぶりの茶壺が主流です。陶器や磁器、ガラスなどさまざまな素材が使われており、個性豊かな作品が展開されています。中国でもっとも有名な茶壺は、江蘇省で作られている「紫砂壺(じしゃふう)」です。
紫砂壺には育てる楽しみがあり、長年使い続けると茶葉の油分がついて美しい艶が出てきます。一般的に、紫砂壷は青茶や黒茶を淹れるのに適しているでしょう。
茶壺を制作する陶芸家は、以下のとおりです。
林佳勳
|
台湾の陶芸家である陳奕志氏が生み出す作品は、手仕事によって丁寧に仕上げているのが特徴です。シンプルな無地の茶壺から装飾を施した茶壺まで、どれも美しく芸術性の高い作品が並びます。 |
陳奕志 |
台湾の茶壺作家である林佳勳が作成した「朱泥孔雀開屏」は、牡丹の花と佇む孔雀の姿が鮮やかな色彩で彫刻されているのが特徴です。花びらから、孔雀の尾羽根に至るまで手作業で作られています。 |
蓋碗(がいわん)
蓋碗は、中国では普段使いされている茶器です。
蓋碗には蓋が付いており、茶杯(急須)や湯呑の代わりとしても使える万能な茶器です。サイズは2種類あり、急須として使用する蓋碗と湯呑を兼用する少し大きい蓋碗があります。湯呑用蓋碗の素材は、熱伝導率が低い厚めの白磁が使われていることが多いです。
蓋碗の使い方は簡単で、やさしくお湯を注いで蒸らしたあと、お茶を出す前に蓋を少しずらして手で軽く押さえます。そのまま碗の縁を持ちながら、茶こしのようにしてお茶を注ぐのが基本の淹れ方です。比較的お買い求めやすい価格で、気軽に楽しみたい方に適しています。
蓋碗を制作する陶芸家は、以下のとおりです。
内田真人 |
陶芸家の内田真人氏が制作した蓋碗は、シンプルな造形ながら、釉薬特有の質感で個性的な表情を見せてくれる作品です。どこか和を感じさせる作品で、日本茶を飲む際の湯呑としても使えます。 |
茶海(ちゃかい)
茶海は、急須に淹れた茶湯を注ぎ淹れる茶器です。
いわゆる水差し(ピッチャー)のようなもので、何煎も続けて飲む際に使用されています。茶海は茶湯の色を確認するために、白素地に無色の釉薬をかけた白磁製が多いです。茶油の濃さは均一ではなく、最初は薄く徐々に濃く変化していきます。
急須に淹れた茶湯を一旦茶海に移して、杯に注ぐ前に味の濃さを均一にします。茶海は繰り返し飲む際に使用するため、急須よりも容量が大きいものを選ぶと安心です。注ぎ口は茶湯が垂れると使いづらいため、水切れが良いものを選びましょう。
茶海を制作する陶芸家は、以下のとおりです。
中村豊実 |
滋賀県で作陶する中村豊実氏の茶海は、シンプルなデザインながら、ろくろで回された手作業の跡や釉薬が垂れた跡が特徴的な作品です。注ぎ口に向かって広がっており、水切れの良さも抜群です。 |
村上雄一 |
東京生まれの村上雄一氏は、茶壺や茶杯、煮水器など数多くの中国茶器を制作する陶芸家です。白さにこだわった卵殻シリーズの茶海は、茶油の色がよくわかるうえに、純白の心地よさが感じられます。 |
茶杯(ちゃはい)
茶杯は、中国茶を飲む際に使われる茶器です。
湯呑より小さいサイズ感で、数回に分けて飲むことでお茶を味わいやすくします。一口で飲み干せる小ぶりのものが主流ですが、大きい茶杯も販売されており、材質は磁器や陶器、耐熱ガラスなど多様な種類がありますが、蓋はついていません。
中国では、「三龍護鼎(さんりゅうごてい)」と呼ばれる茶杯の使い方が一般的です。親指と人差し指で飲杯の縁を挟み、中指は底に添えて持ちます。薬指と小指は飲杯に触れず、自然に丸めて添えておきましょう。家庭で飲む場合は、お好みの持ち方で問題ありません。
茶杯を制作する陶芸家は、以下のとおりです。
松本郁美 |
滋賀県甲賀市で活動する松本郁美氏は、中国茶器を数多く生み出す陶芸家です。温かみのある表情が豊かな灰釉に、鳥や花の絵付けを施した茶海を制作しています。手に収まる小ぶりなサイズ感で、香り豊かな中国茶をゆっくり楽しむのに適しているでしょう。 |
中原真希 |
インテリアデザイン事務所勤務を経て、工芸の世界に飛び込んだ陶芸家です。中原真希氏が制作したやさしいニュアンスカラーの茶杯は、背の高い筒のような形に仕上げています。お茶を飲んだ後に香りを味わう聞香杯としても使用可能です。 |
陶器と磁器の違いについて知りたい方は、以下の記事を確認してください。
陶器と磁器の違いとは?特徴や歴史・見分け方などをわかりやすく解説
聞香杯(もんこうはい)
聞香杯は、茶葉の香りを楽しむために使われる茶器です。
煎れた茶を聞香杯に注いだあと、茶湯を茶杯に移すと茶葉の香りが全体に残ります。中国では、烏龍茶や鉄観音(てつかんのん)茶など青茶の香りを引き出すために使われるのが一般的です。聞香杯は香りを感じられるように、細長い形状をしています。
中国茶を飲む際に使われる茶杯とセットで販売されていることがほとんどです。香りを楽しむためだけに使われる茶器ですが、茶杯や聞香杯で中国茶を淹れると味や香りを十分に味わえます。
聞香杯を制作する陶芸家は、以下のとおりです。
斎藤有希子 |
イタリアで陶芸に出会い、現在は東京都三鷹市で活動する陶芸家です。斎藤有希子氏は茶藝師としても知られており、自作の中国茶器を使った中国茶会を開催しています。聞香杯をはじめ、蓋碗や茶杯など数多くの作品を輩出しています。 |
茶荷(ちゃか)
茶荷は、使用する茶葉を取り出しておくための茶器です。
茶葉を入れやすくするために、口の部分が細く成形されています。お茶を淹れる前に、乾燥した状態の茶葉を観賞するために使用されることも多いです。
磁器や竹、木、石などさまざまな素材で作られており、好みに合わせて選べます。茶荷の形状は作品によって異なりますが、口の部分が少しすぼんでいるものを選ぶと茶葉を入れやすいです。茶葉の観賞用として使用したい場合は、浅く広い形状が適しています。
茶荷を制作する陶芸家は、以下のとおりです。
小林千恵 |
神奈川県横浜市で活動する陶芸家です。アートピースの作品が「茶荷」として登場しました。両端の先端が欠けてるような斬新なデザイン、かつ都会的でスタイリッシュな印象です。浅く広い形状であり、茶葉の観賞用としても活躍してくれます。 |
茶盤(ちゃばん)
茶盤は、茶器をのせるためのお盆です。
中国茶は、蒸している間も冷めないように直接茶器にお湯をかけるので、茶盤の下にお湯が溜まるように作られています。茶盤の歴史は浅く、2000年代に広く使われるようになりました。茶会では、茶盤ではなく歴史の古い「茶船(ちゃぶね)」を使うのが一般的です。
茶盤は、竹や木、陶器、ステンレスなどさまざまな材質で作られています。家庭で手軽に楽しみたい場合は、安価で初心者向きの陶器製やステンレス製の茶盤を選ぶのがおすすめです。材質で使い勝手が変わるため、実際に触れてみて自分好みのものを選ぶのもよいでしょう。
茶盤を制作する陶芸家は、以下のとおりです。
陳芝穎 |
金工作家である陳芝穎は、手作業でひとつひとつ叩いて成形して冷たい金属に温度感を与える、唯一無二の作品を数多く生み出しています。陳芝穎が制作した中国茶器・茶盤は、独特のメッシュの排水デザインを採用した現代的かつ個性的な作品です。 |
中国茶の淹れ方
中国茶を淹れる手順は、以下のとおりです。
- お湯を沸かす
- お湯を使って茶器を温める
- 茶壷に茶葉を入れて、温める
- お湯を注ぎ茶葉を蒸らす
- 急須からお茶を注ぐ
それぞれの概要を確認していきましょう。
1. お湯を沸かす
まずは、中国茶を淹れる際に必要な急須と湯呑を用意しましょう。茶盤や聞香杯などほかにも茶器はありますが、家庭であれば急須と湯呑だけで十分です。
道具を揃えたらお湯を沸かします。お湯は電気ケトルでもやかんでもどちらでもかまいません。茶葉が烏龍茶や普洱茶の場合は、100℃に近い高温のお湯を用意してください。
緑茶を飲む場合は、60〜80℃まで冷ましましょう。緑茶に含まれるカテキンは、80℃以上になると渋みや苦みの成分が出てきます。旨味だけを残すには、80℃より低いお湯が必要です。
2. お湯を使って茶器を温める
次は、沸かしたお湯で茶器を温めましょう。
中国茶は、淹れるお湯の温度で味と香りが大きく変わります。とくに、香りはお湯の温度が高いほうが引き出せるため、温めた急須と湯呑を使用することが大切です。
急須にお湯を入れたあとは必ず蓋をして、30秒ほど温めてください。ほかの茶器を使用する場合も、急須や湯呑と同じように温めておきましょう。
3. 茶壷に茶葉を入れて、温める
急須(茶壷)を温めるための湯を捨ててから、茶葉を入れて温めましょう。
茶葉は、急須の底が見えなくなる程度の量を入れます。正確に測る必要はありませんが、1~2人で飲むなら4g程度が目安です。急須に茶葉を入れたら、15秒程度そのまま置いてください。
4. お湯を注ぎ茶葉を蒸らす
急須の口までお湯を注いで蓋を閉め、茶葉を蒸らしましょう。
蒸らし時間は、1煎目で30秒が目安です。そのまま放置すると急須に淹れたお湯が冷めていくので、蒸らしている間も急須にお湯をかけます。
5. 急須からお茶を注ぐ
蒸らし時間が過ぎたら、急須から湯呑に茶湯を注ぎましょう。
なるべく最後の一滴まで注ぎ切り、急須の蓋は外して横に置いておきます。蓋を外すのは、急須の中で茶葉が無駄に蒸れて渋くなるのを防ぐためです。
冷めないうちにお茶をいただきましょう。
中国茶を美味しく淹れるポイント
中国茶を美味しく淹れるには、以下のようなポイントに気をつける必要があります。
- 烏龍茶を淹れるときは沸騰している100℃のお湯を用いる
- 蒸らし時間や茶葉量は測っておく
それぞれのポイントを確認していきましょう。
烏龍茶を淹れるときは沸騰している100℃のお湯を用いる
烏龍茶を淹れる際は、100℃のお湯を使いましょう。
烏龍茶などの青茶はお湯の温度が高くないと、茶葉本来の味や香りを上手く引き出せません。急須や湯呑だけでなく、そのほかの中国茶器を使用する場合は、大量のお湯が必要です。熱々のお湯を準備できるように、電気ポットを手元に置いておくのがよいでしょう。
ただし、緑茶はあまりお湯が熱すぎると渋みや苦味が出てきます。旨味だけを残せるように、60〜80℃まで冷ましてから淹れるのがおすすめです。
蒸らし時間や茶葉量は測っておく
中国茶の蒸らし時間は、茶葉の種類や急須の大きさで変わります。茶葉のパッケージに記載されている目安時間を参考にして蒸らしましょう。一般的な蒸らし時間は、30秒が目安です。
何度も飲む場合は、淹れる回数が増えるごとに蒸らし時間を10秒ほど長くするとしっかり抽出できます。また、茶葉の量は急須の底が見えないくらいまで入れましょう。正確に測る必要はありませんが、1~2人で飲むなら茶葉の量は4g程度が目安です。
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まとめ
中国茶器は、茶壺や蓋碗、聞香杯などさまざまな種類があります。家庭で気軽に楽しみたい場合は、急須の役割がある「茶壺」と湯呑になる「茶杯」を揃えれば十分です。それ以外は、あまり使用しない方もいるのではないでしょうか。
制作年代が古い作品や著名な作家による中国茶器は、高額買取になる可能性があります。一度査定を依頼して、自宅にある中国茶器の価値を確かめてみてはいかがでしょうか。
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