中国の掛け軸は、絵の美しさはもちろんのこと、高い芸術性から世界中で高く評価されています。この記事では、中国の掛け軸の特徴や種類、有名な画家などについて紹介します。また掛け軸を、高価で買取してもらうためのポイントについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
【目次】
中国の掛け軸とは
中国の掛け軸の特徴
中国の掛け軸の歴史
中国の掛け軸の種類
中国水墨画
中国山水画
中国花鳥画
院体画
文人画
中国掛け軸の有名な画家
斉白石(サイハクセキ)
呉昌碩(ゴショウセキ)
顧愷之(コガイシ)
中国の掛け軸を高価で買取してもらえるポイント
共箱の有無
保存状態が良い
軸先に高価な素材が使われている
信頼性の高いルートで入手しているか
中国の掛け軸の買取なら永寿堂にお任せ下さい
まとめ
中国の掛け軸とは
中国の伝統美術の一つである中国の掛け軸には、風景・人物・動物など、さまざまなジャンルのモチーフが描かれています。
掛け軸とは、水墨画や色彩画が描かれた絹や紙などを、筆先や筆触を生かして縦長に仕立てたものです。その美しさや芸術性から、掛け軸は世界中で多くの人々に親しまれ、高く評価されています。
ここでは中国の掛け軸について、その特徴や歴史について紹介します。
中国の掛け軸の特徴
中国の掛け軸と日本の掛け軸の違いには、主に5つが挙げられます。
まずは、見た目(題材)の違いです。日本の掛け軸と比べて力強いテーマの作品が多い中国の掛け軸は、季節の風情を感じさせるものは少ない傾向にあります。
掛け軸のサイズや軸先の形も異なるので、以下の表にまとめました。
日本の掛け軸 |
中国の掛け軸 |
|
サイズ |
床の間に合わせたサイズ感 |
標準サイズなし |
軸先の形 |
半月状 |
四角形 |
また、使われる技法も異なります。山水画を例に取ると、日本の掛け軸に多用されているのは、にじみやぼかしの技法です。一方中国の掛け軸では、輪郭をはっきりと描く技法が好まれます。中国の掛け軸と日本の掛け軸は、明らかに異なるといえるでしょう。
中国掛け軸の歴史
中国掛け軸の起源は諸説ありますが、一般的には西暦1000年頃の北宋時代とされいます。 しかし、日本ではそれ以前の飛鳥時代、既に掛け軸が存在していました。掛け軸は「中国から伝わった文化」とされており、中国の掛け軸は時間をかけて大成した文化と言えるでしょう。
日本の掛け軸は、中国とは異なる独自のスタイルで進化しています。鎌倉時代になると、禅宗の影響で墨絵が広まり、掛け軸にも注目が集まりました。
室町時代には茶の湯(茶道)が隆盛し、茶室の床の間に掛け軸が多く用いられます。この時期に掛け軸の重要性を強調した人物が、千利休です。室町時代に掛け軸がいっそう広まった背景には、千利休の存在が大きかったと言われています。
全国的に掛け軸が普及したのは、江戸時代以降です。18世紀になると、江戸で活躍していた狩野派に並ぶように京都の画壇も活気づき、それに伴って掛け軸も注目を浴びるようになりました。
中国の掛け軸の種類
本章では、中国の掛け軸の種類について解説します。中国には、さまざまな画風の掛け軸が存在し、その代表的なものは、以下のとおりです。
-
中国水墨画
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中国山水画
-
中国花鳥画
-
院体画
-
文人画
それぞれの画風には異なる特徴があり、また時代とともに変化してきました。ここでは、これらの掛け軸の種類について、その歴史や特徴について詳しく解説します。
中国水墨画
主に墨を用いて対象物の濃淡を調節する画法が、「水墨画」です。日本水墨画は「にじみ・ぼかし」を多用するのに対し、中国水墨画は線がはっきりとして明瞭です。優しい雰囲気の日本水墨画とは対照的に、力強い印象を受けるでしょう。
どっしりとした迫力を感じされる点は、中国の水墨画ならではのポイントです。
中国山水画
中国山水画には、自然を題材にした作品が多くみられます。風景画とは異なり、中国人の感性が反映された山は、霊獣などの住処として描かれるモチーフです。
中国の山水画には理想的なイメージが描かれ、高い精神性が求められています。日本の山水画とは異なり、実在しない想像上の風景が描かれることも特徴です。中国の山水画には、明瞭で力強い印章が入っているため、日本の水墨画のような「にじみ・ぼかし」といった技法は、ほとんど使用されていません。
中国花鳥画
「花鳥画」は、季節の変化などを描いた画題のひとつです。鳥や花だけでなく、草木や虫、小動物なども描かれます。絵の中には言葉遊びも含まれており、文人同士の贈り物として用いられていました。
初期の中国花鳥画には「鉤勒填彩(こうろくてんさい)」という画法が用いられ、正確な描写が重視されていたそうです。しかしその後は、輪郭を描かずに色彩や筆のタッチを用いる「没骨法」も取り入れられ、画院以外の士大夫や僧侶にも高く評価されるようになりました。
院体画
唐の李思訓や宋の郭煕、馬遠、夏珪などの画家によって始まった「院体画(北宗画)」は、明代の戴進などによって引き継がれました。唐の玄宗の時代に設立された翰林図画院(かんりんとがいん)という宮廷の絵画制作機関を画院といい、多くの専門的な宮廷画家が誕生したとされています。
院体画は、職業画家が描いた花鳥や山水などの作品を指します。文人画とは異なり、精密な写実的表現が特徴的です。これは、墨の濃淡を使うことにより「陰」と「陽」を表現しています。全体を通して、ダイナミックで繊細な表現が魅力です。
文人画
文人とは、儒教の価値観に基づく教養と道徳が備わった知識層を指します。一般庶民とは明確に区別されていました。宮廷画家や民間の職業画家も存在しましたが、董其昌のような明末の理論家は「文人画」を上位に位置づけたのです。
文人画とは、職業画家ではなく文人や知識人が余技として描く絵画を指します。技術的な描写よりも主観的な表現に重点が置かれ、自由な表現が特徴です。職業画家の作品は技術的に優れていたとしても、文人画よりも一段と価値が劣ると考えられていました。
中国掛け軸の有名な画家
中国絵画史において「斉白石」「呉昌碩」「顧愷之」は、芸術性の高さで高い評価を受けています。
斉白石は、彼の描いた虫や草木に人間的な感情を見出せるほど、その技術は精巧です。呉昌碩は、独自の色彩感覚を持ち、とくに画面中央に配された梅花を得意としました。顧愷之は、楷書や隷書、草書といった書の分野でも多大な成果を残しています。以下では、それぞれの画家の特徴や代表作を詳しく紹介します。
斉白石(サイハクセキ)
中国湖南省出身の画家・書家・篆刻家・詩人である斉白石は、もともと木工職人として働いていました。20代の頃に文人画家や詩人に師事し、才能を開花させた人物です。
以来、掛け軸・絵画・書・印象など、幅広い分野で多数の作品を精力的に制作しました。90歳を超えた後も創作意欲を失わず、年間600点以上の作品を制作したとされます。
「中国のピカソ」とも称されており、中央美術学院の名誉教授や中国美術家協会の首席、北京画院の初代名誉院長などを歴任したことでも有名です。晩年に制作されたとされる掛け軸の査定金額は、1,000万円となっています。
呉昌碩(ゴショウセキ)
1844年に生まれた呉昌碩は、中国の優れた芸術家の一人として知られています。彼は画家・書家・篆刻家・詩人の各分野で卓越した作品を残しており、「四絶」として称されました。
学者の家系に生まれ、幼少期から勉学に熱心であり、22歳の時に科挙の試験に合格しています。しかし就職せずに、小職を転々としながら創作活動を続けました。
84歳で亡くなるまで数多くの名作を残した呉昌碩の代表作には、「牡丹水仙図」や「臨石鼓文」があります。また芥川龍之介や犬養毅、北大路魯山人などの著名人との交流もあったそうです。晩年に制作されたとされる掛け軸の査定金額は、700万円となっています。
顧愷之(コガイシ)
中国東晋の画家・顧愷之は、唐代以降に名画の祖として尊ばれた人物です。彼は虎頭将軍としても知られており「顧虎頭」とも呼ばれました。博学で才気に溢れ、画絶・才絶・癡絶の三絶を伝えたとされ、謝安からは「史上最高の画家」と称されます。
代表作である「女史箴図」は、古代中国の宮廷の様子を描いた貴重な作品で、宮廷内の女性たちの美しさや優雅さを描写しています。繊細な筆遣いや流麗な線描、豊かな表現力などが顧愷之が高く評価される理由です。
顧愷之は、篆刻家としても優れた才能を発揮し、現代でも高い評価を受けています。彼の作品は中国美術史上において重要な位置を占めており、現代の芸術家たちにも大きな影響を与え続けている存在です。
中国の掛け軸を高価で買取してもらえるポイント
本章では、中国の掛け軸を高価で買取してもらえるポイントについて紹介します。掛け軸は芸術品の一種であり、その価値は保存状態や素材の質、入手経路によって大きく左右されるでしょう。
とくに共箱の有無や軸先に高価な素材が使用されているかどうかは、評価に大きく関わるポイントです。また信頼性の高いルートで入手しているかも確認しましょう。これらのポイントを抑えれば、掛け軸を高く売却できます。
共箱の有無
共箱は、掛軸などの骨董品を収めるための箱です。高価な作品には、作家によって共箱が付けられています。共箱には墨書きがあることも多く、作品の価値を証明する手がかりの一つです。
なかには、木箱と漆の箱のセット(二重箱)の共箱もあります。厳重に保管されているものは、価値が高い作品かもしれません。作品を買取する際には、共箱も一緒に査定するようにしましょう。
保存状態が良い
中国掛軸の買取では、作品の保存状態が買取価格に大きく影響します。オークションへ出品されることが想定されるため、見栄えの良さは重要です。
傷・破れ・汚れ・カビなどがあると買取価格が下がってしまいます。そのため掛軸は共箱に保管し、湿気が少ない場所での保管が必要です。保存状態が良くなければ価値を引き出せないため、注意してください。
軸先に高価な素材が使われているか
一般的に骨董品や美術品では、高価な素材が使われているものが高い価値を持っているとされます。掛軸においては、軸先に高価な素材が使われているかどうかが作品の価値を判断する重要なポイントの一つです。
たとえば軸先に象牙が使われている作品は、高い価値を持っています。象牙自体が高価な素材であることに加え、「高価な素材を使うほど作品に力が入っている」という考え方があるためです。作品の価値を左右する軸先の素材は、覚えておくと役立つ情報でしょう。
信頼性の高いルートで入手しているか
中国から出回る骨董品は、その多くが贋作であるとも言われています。掛軸も、例外ではありません。高価な作品ほど贋作が多いため、「然るべきルート」から入手されたものであることが大切です。
「然るべきルート」には、「骨董品収集家のコレクションからの購入である」「オークションや骨董市で高額で購入する」などが挙げられます。中国掛軸を見つけた場合は、どのようなルートで入手したのかを確認しておきましょう。政治家などからもらったものなど、高級品が入手できそうなルートであるほど、高価買取が期待できます。
中国の掛け軸の買取なら永寿堂にお任せ下さい
永寿堂では、中国の掛け軸の買取にも力を入れております。中国本土から出回っている高価な中国骨董品は贋作が多く、適切なルートから入手した品物であることが重要です。当社は掛け軸の買取りも専門に行っておりますので中国の掛け軸買取は永寿堂におまかせ下さい。
お手持ちの掛け軸の入手ルートが明確であれば、高価買取が期待できるでしょう。ぜひ、お持ちの中国掛け軸を当社にご相談ください。
骨董品買取専門店 永寿堂へのお問い合わせ先
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まとめ
中国の掛け軸には、中国水墨画・中国山水画・中国花鳥画・院体画・文人画などが存在します。なかでも、斉白石や呉昌碩、顧愷之などの有名画家によって描かれたものは高額買取が可能です。
古くから存在する中国の掛け軸からは、歴史や文化が感じられます。また共箱が付いている掛け軸は保存状態が良いものも多く、高価な買取が期待できるでしょう。
掛け軸は、軸先に高価な素材が使われているものや信頼性の高いルートから入手されたものが高く評価されます。これらの要素を満たす中国の掛け軸をお持ちの方は、ぜひ買取専門業者に査定を依頼してみてはいかがでしょうか。
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