蒔絵とは?その種類や歴史・詳しい製法などをわかりやすく解説

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蒔絵とは?その種類や歴史・詳しい製法などをわかりやすく解説
蒔絵の印籠

漆器を彩る、繊細で巧妙な模様は「蒔絵」という技法によるものです。金や銀の粉を使ってさまざまな図柄を表現する蒔絵は、器をいっそう華やかにしてくれます。その美しさに魅了される人も多く、品物によっては高額取引も可能です。本記事では蒔絵とは何なのか、歴史や種類、高額査定のポイントについて解説します。

【目次】
蒔絵とは
蒔絵の歴史
 奈良時代~平安時代
 鎌倉時代~安土桃山時代
 江戸時代
 明治時代以降
蒔絵の製法ごとの種類
 研出蒔絵
 平蒔絵
 高蒔絵
 木地蒔絵
 肉合研出蒔絵
 近代蒔絵
蒔絵の工芸品を高く査定してもらう3つのポイント
 1.保存状態が良いか
 2.箱などの付属品がついているか
 3.特定の作家や時代のものか
蒔絵の工芸品買い取りなら永寿堂にお任せください
まとめ

 

蒔絵とは

蒔絵に使う金蒔絵(まきえ)とは、漆工芸における代表的な加飾技法の一つです。漆を使って絵や模様を工芸品に描き、漆が固まる前に蒔絵粉(金や銀などの金属粉)を散らして(蒔いて)表面に付着させ、装飾を施します。粉をまき散らして絵を作る工程によって、「蒔絵」という名称が付けられました。
日本における蒔絵の起源は、奈良時代に制作された正倉院の宝物である「金銀鈿荘唐大刀(きんぎんでんかざりのからたち)」の鞘部分の装飾に使われた「末金鏤(まっきんる)」だとされています。平安時代に入ると「蒔絵」という言葉が使われるようになりました。そして鎌倉時代には、蒔絵の基本的な技法(平蒔絵・研ぎ出し蒔絵・高蒔絵)が整備されたそうです。

 

蒔絵の歴史

蒔絵の蓋物前述したように、蒔絵の歴史は奈良時代まで遡ります。長い歴史を経て、今日に至る技術が確立されていきました。ここでは、蒔絵の歴史を「奈良〜平安時代」「鎌倉〜安土桃山時代」「江戸時代」「明治以降(現代まで)」の4つに分けて、詳しく解説していきます。蒔絵の歴史を知ることで、その魅力をより深く理解できるでしょう。

 

奈良時代~平安時代

蒔絵の起源とされる奈良時代当時、正倉院に収められていた金銀鈿荘唐大刀の鞘には、雲や獅子、唐草文を施す末金鏤の技法が使われていました。この鞘こそが、後の平安時代に誕生する研出蒔絵の先駆けです。
平安前期の蒔絵は、奈良時代のスタイルが引き継がれており、豊かな立体感と対称的な構成が特徴でした。『延喜御記(えんぎぎょき)』によると、延喜19年(919)に京都の仁和(にんな)寺で制作された『宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱(ほっそうげかりょうびんがまきえそくさっしばこ)』は、この時代の代表的な作品であったそうです。
平安中期になると和風の要素が取り入れられ、情緒的な主題や静的な構成に移り変わり、螺鈿(らでん)と組み合わせた作品が登場します。代表的な作品として挙げられるのは、国宝の『沢千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃(さわちどりらでんまきえこからびつ)』や『片輪車螺鈿蒔絵手箱(かたわぐるまらでんまきえてばこ)』です。
平安後期には、貴族の調度や建築装飾にも蒔絵が使用され始めました。1176年に名古屋市七寺(ななつでら)で制作された『経唐櫃(きょうからびつ)』の中蓋に描かれた仏画が、この技法の代表作です。

 

鎌倉時代~安土桃山時代

鎌倉時代に入ると、地蒔(じまき)の技法が好まれるようになりました。鶴岡八幡宮の『籬菊螺鈿蒔絵硯箱(まがきにきくらでんまきえすずりばこ)』にも、蒔絵が施されています。この時期には高蒔絵の技法が登場しており、静岡県にある三嶋大社の『梅蒔絵手箱(うめまきえてばこ)』にその技法が使われているのです。
室町時代に入ると、幸阿弥(こうあみ)道長や五十嵐信斎(いがらししんさい)らによって、格調高い作品が制作されました。彼らの後継者たちは、将軍家のお抱え蒔絵師として活躍することとなり、『塩山(しおのやま)蒔絵硯箱』や『春日山蒔絵硯箱』などが代表的な作品として知られています。
桃山時代には、豊臣秀吉の愛用品にも見られる平蒔絵が主流となり、高台寺蒔絵として広まりました。

 

江戸時代

江戸時代は、次々と新しい蒔絵の模様が生み出された時代です。その背景には、富裕層の町人や商人たちが漆で塗られた調度品やアクセサリーに蒔絵を施し、それらを日常生活に取り入れたことが挙げられます。当時の人々は、斬新な要素や新しいデザインを好む傾向があり、これらを身につけることで、自分自身のセンスをアピールするようになりました。
中期以降は、町人や商人たちが蒔絵師たちの支援者となり、これまでにない素材を用いた芸術的な蒔絵が生まれます。さらに蒔絵が施された漆器は、海外にも輸出されるようになりました。ヨーロッパでは日本独自の技術である蒔絵が希少な美術品とされ、高い人気を博したのです。

 

明治時代以降

明治時代に進むと、各産地において異なる特徴が明らかになります。当初は単なる調度品であった蒔絵が、美術工芸としての評価を受けるようになったのもこの時代だそうです。博覧会を通じて、蒔絵技術の国際的な認知が広まりました。
そして現代では「伝統工芸品産業の復興に関する法律」が制定され、その中で漆器が伝統工芸品として指定されたのです。平成時代においては、1998年に開催された長野冬季オリンピックのメダルにも蒔絵が施されています。金メダルと銀メダル、銅メダル、合計約500個の漆メダルが制作されました。現代において蒔絵は、主に器や家具に施されることが一般的ではあるものの、万年筆やアクセサリーなどにもその技術が活用されています。

 

蒔絵の製法ごとの種類

蒔絵の屠蘇器蒔絵の基本的な技法は、大まかに研出蒔絵(とぎだしまきえ)、平蒔絵(ひらまきえ)、高蒔絵(たかまきえ)の3つに分類可能です。3種類に加えて、その応用例として白木地を活かした木地蒔絵や肉合研出蒔絵、そして近代蒔絵などが知られています。ここでは、それぞれの制作方法や特徴について解説するので、自宅に保管されている蒔絵がいずれの種類に該当するのかをチェックしてみてください。

 

研出蒔絵

多くの方々は、漆の上に金粉を施した蒔絵に「剥がれやすい」といった印象を持っているかもしれません。しかし蒔絵には、金粉が剥がれにくい「研出蒔絵」という技法があります。
「研出蒔絵」は、漆と蒔絵の面が均一になっており、表面を強く傷つけたり意図的に削ったりしない限り、金粉が剥がれにくいことが特徴です。見た目の特徴としては、直接的な光沢ではなく落ち着いた光を放つ点にあります。最終的な研ぎの工程において、金粉をどれだけ美しく表現できるかが職人の腕の見せどころです。

 

平蒔絵

蒔絵の中でも基本的な技法が「平蒔絵」です。平蒔絵には「消し平蒔絵」と「磨き平蒔絵」があります。
漆部分には金粉が完全に付着し、まき跡が明瞭に現れるため、漆を用いて絵を描く際は細部に至るまで慎重な作業が要求される技術です。漆が乾いたら、金粉がしっかりと密着するように摺り漆(金粉の上に灯油で希釈した透漆を塗る作業)を施し、乾燥させます。このプロセスにより金粉がしっかりと固定され、漆が完全に乾いたら完成です。

 

高蒔絵

「高蒔絵」は、蒔絵を高く盛る技法です。高く盛る技法にはいくつかあり、そのひとつとしては、器の蒔絵部分に上塗りを施して乾燥させ、それに厚めの漆を塗る技法が挙げられます。ほかにも、蒔絵を施す部分に厚めの漆を塗り、その上に炭粉や焼錫粉を蒔いて盛り上げる「炭粉上げ」や「焼錫粉上げ」なども高く盛る技法といえるのです。
「高蒔絵」は形を作り上げた後に、先に紹介した「平蒔絵」や「研出蒔絵」といった技法を組み合わせて作られます。さまざまな技法を組み合わせることで、「絵」とは異なる「工芸」の世界を楽しめるのも、蒔絵の魅力でしょう。

 

木地蒔絵

木地蒔絵とは、未塗装の状態で直接蒔絵を施す技法のことです。木材の美しさを損なわずに蒔絵を実施するため、熟練の職人でもなければ、かなり難しい技法とされています。

 

肉合研出蒔絵

前述の平蒔絵、高蒔絵、そして研出蒔絵の技術を組み合わせて応用した装飾方法が「肉合(ししあい)研出蒔絵」です。この手法は表現の幅が非常に広く、壮麗な仕上がりになる技法とされています。現在、国宝や重要文化財として認定されている漆器に、肉合研出蒔絵の技法が採用されているものがあるのでチェックしてみるといいでしょう。

 

近代蒔絵

シルクスクリーン印刷やパッド印刷を用いて、蒔絵特有の質感を再現しているのが「近代蒔絵」です。スクリーン蒔絵とも称されており、従来の手描きとは異なります。
従来とは異なる種類の蒔絵粉を使用しており、ボールペンやお椀といった伝統的なアイテムに加えて、蒔絵風のシールとして活用されるケースも多く見られるでしょう。

 

蒔絵の工芸品を高く査定してもらう3つのポイント

高価買取となる蒔絵蒔絵は日本特有の落ち着いた雰囲気の中に、上品さを持った作品です。とくに非常に精巧で高度な技術を用いて制作された作品は、古いものほど歴史的な価値が高く、高額で取引されるとされています。もちろん保存状態も査定額に影響しますし、傷や損傷がある場合は査定額が減少するでしょう。ここでは、蒔絵を高価に買い取ってもらうポイントを解説します。

 

1.保存状態が良いか

多くの美術品と同様に、蒔絵の査定額にも品物の状態が影響します。汚れや傷、割れなどがある場合、査定額は減少してしまうでしょう。だからといって自分で修理を試みると、かえって品物を痛めてしまうかもしれません。外見が損なわれたり、逆にさらなる損傷を招いたりする可能性があるため、自分で手を加えるのは避けましょう。

 

2.箱などの付属品がついているか

蒔絵の買取において、収納箱や鑑定書などが揃っていることは、重要な査定ポイントです。付属品をセットで依頼できる場合は、買取価格がプラスされるケースも多いでしょう。年代が古い品物の場合、すべての付属品が完璧に残っているケースは少ないかもしれません。可能な限り、付属品を揃えて買取査定に臨むのがおすすめです。

 

3.特定の作家や時代のものか

作家や制作時期も、査定額を大きく左右します。原羊遊斎や柴田是真、中村宗哲、寺井直次など、有名作家の蒔絵は高額で買い取ってもらえるでしょう。また無銘の作品でも、時代が古い場合は、高い買取価格が期待できます。江戸時代以前や明治時代の作品は、査定額が高額になるかもしれません。蒔絵は日本美術の中でも海外需要の高い品物であるため、ぜひ一度査定を依頼してみてください。

 

蒔絵の工芸品買い取りなら永寿堂にお任せください

蒔絵の工芸品買取りは永寿堂へ永寿堂では工芸品の買取りを行っております。また吸物椀や棗、硯箱など、蒔絵や漆工芸品に関するご相談は、永寿堂におまかせください。当社ではどのような蒔絵や漆工芸品でも、長年の経験を活かして丁寧に査定いたします。
査定の結果に基づき、価値の高い蒔絵や漆工芸品は適切な金額で買い取ることが可能です。輪島塗や印籠など、さまざまな蒔絵や漆工芸品の種類に対応しているため、お気軽にご相談ください。

 

骨董品買取専門店 永寿堂へのお問い合わせ先

・TEL:0120-060-510
・メールフォーム:https://www.eijyudou.com/contact/
・LINE ID:@721crjcp

 

まとめ

蒔絵についてのまとめイメージ蒔絵の歴史や種類について紹介しました。蒔絵のデザインや色使いは、時代とともに変化しており、その時代の特徴が鮮明に表れています。
現代の漆器に施される蒔絵も、見事な美しさが際立つものばかりです。輝く漆の上に描かれた鮮やかな絵柄は、世界中で高い人気を得ています。自宅で眠っている蒔絵がある方は、ぜひ一度、永寿堂へお問い合わせください。

 

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