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版画とはどのような作品?種類や特徴・絵画との違いなどを簡単に解説
版画とはメインイメージ

版画は版を制作し、印刷することで多くの作品を一度に作成できる手法です。凸版画・凹版画・平版画(リトグラフ)・孔版画(こうはんが)などさまざまな種類があり、それぞれが独自の特徴や魅力を持ちます。
有名作家の作品でも、油絵や水彩画と比べて手頃な価格で入手できるかもしれません。この記事では、版画の種類や代表作などを解説します。

【目次】
版画とは
 版画と絵画の違い
 版画と原画の違い
版画の種類
 凸版画
  凸版画の特徴
  凸版画の歴史
 凹版画
  凹版画の特徴
  凹版画の歴史
 平版画
  平版画の特徴
  平版画の歴史
 孔版画
  孔版画の特徴
  孔版画の歴史
版画の代表的な作品
 マルク・シャガール:私と村
 斎藤清:ミルク
 棟方志功:大世界の柵
版画や絵画の買取りなら永寿堂へお任せください
まとめ

 

版画とは

版画を制作するイメージ版画とは、その名の通り「版」を使用して制作する絵画のことです。版とは、印刷時にインクを紙に転写するためのものと定義されています。版画における版には、通常木材が使用されますが、他にもさまざまな材料が版として用いられるでしょう。
ここでは版画と、絵画や原画との違いについて解説します。

 

版画と絵画の違い

版画は、版を使って転写した絵を指します。ここでいう「版」は、印刷する際にインクを紙面に移す媒(なかだち)となるもののことです。
そのため、版画は印刷して多数の作品が制作されます。印刷された枚数は、画の余白に明記されるため、確認してみましょう。たとえば「53/300」とあれば、「300枚あるうちの53枚目」という意味です。分母の数が少ないほど希少性が高く、作品の価値が上がります。
一方の絵画は、平面上に線や色彩を使って物の形や姿を描き出したもの全般のことです。子どもが描いた絵も、絵画といえます。また、絵の具やペンを使って描かれたものに限りません。絵の具を使用しない切り絵も絵画の1つです。支持材に応じて、祭壇画・壷絵・洞窟画・イーゼル画などに分類されます。
以上を踏まえると、版画も絵画といえるでしょう。絵画のなかの1つのジャンルが「版画」と認識されています。

 

版画と原画の違い

原画とは、作家や画家本人が手がけたオリジナル作品のことです。原画は非常に希少であり、価格も高額になります。有名な画家の作品になると、数千万円から数億円という驚くべき価格になる可能性もあるでしょう。
また、1つのタイトルの作品が、1点だけとは限りません。画家が特に思い入れのある作品は、同じタイトルの作品がサイズや表現方法などで複数存在することもあります。しかし、それぞれの作品の風合い・構成・色使いなどは11つ異なり、全く同じ作品は存在しません。絵の具の凹凸や質感など、原画ならではの魅力を味わえるでしょう。
一方の版画は、原画を元に作成された作品です。原画をもとに、彫師や絵師が各工程を手がけます。原画に比べると版画は、安価で購入できる点も特徴です。

 

版画の種類

様々な版画版画は、凸版画・凹版画・平版画・孔版画という4つの種類に分けられます。それぞれが独自の特徴と歴史を持っています。凸版画は、立体感と鮮やかな色彩が特徴であり、古くから使用されてきた手法です。
凹版画は、繊細な線や陰影が表現され、美しい印象を残します。平版画はシンプルな色使いと平面的な表現が特徴で、孔版画は穴を通してインクを押し出す技法です。それぞれの歴史と技法について、本章で解説します。

 

凸版画

「凸版画(とっぱんが)」とは、凸面に絵の具やインクを付けて写す方法の版画です。「色を付けて紙などに押し付ける」という版画の中では、原始的な手法といえるでしょう。
凸版画には、紙版画ゴム版・型押し・木版画・石膏版・コラグラフ版画など、いろいろな素材の版材や技法があります。子どもの頃にやった人も多い「消しゴムハンコ」は、この技法を使っているものです。

 

凸版画の特徴

凸版画は、色を塗る部分だけを残し、塗らない部分を削ることで木材などに浮き彫りにする技法です。その浮き彫りの版を使い、色を重ねていくことで、多彩な色彩の凸版画が生み出されます。
凸版画は、この技法によって、数多くの骨董品として、価値の高い作品が生み出されています。

 

凸版画の歴史

凸版は、他の版形式である凹版・平版・孔版と比べ、歴史的に古い技法です。なかでも木版画は、版画の中でも伝統があるもので、印刷技術として長い間用いられてきました。
ちなみに、最古の版を使用した印刷物は、日本で8世紀に作られた木版の経文とされています。しかし中国では、すでに7世紀から木版による印刷が始まっていたそうです。
西洋では、14世紀後半から宗教画として木版画がおこなわれていました。ルネサンス期にヨハネス・グーテンベルグが金属活版印刷を発明したことで、印刷技術は急速に発展したのです。

 

凹版画

「凹版印刷(おうはんいんさつ)」とは、板に文字や絵を彫り、その溝にインクを詰め込んで印刷する手法です。凹版画は、版面に凹凸を持たせ、インクを凹みに入れて印刷することで作られており、その独特な特徴が魅力とされています。
他の版画とは違った魅力を感じられるでしょう。

 

凹版画の特徴

凹版画は、絵に描きたい箇所をくりぬいて、その部分がくぼみとなるように版を作ります。使われるのは、彫刻やエッジングの手法です。
くぼみにインクを塗り、それ以外の部分を拭き取って残ったインクを紙に転写することで、凹版画が完成します。複数の色を使う場合は、それぞれの色に対応する版を作り、重ねて印刷されるのです。豊かなトーン表現は可能であり、陰影や立体感が豊かに表現できます。

 

凹版画の歴史

15世紀半ばにイタリアやドイツで胴版画(凹版)が初めて現れ、その後1世紀ほどの間に凹版画の技術が大きく進歩しました。これにより、一般的な木版画は衰退の一途を辿ったとされます。その理由は、胴版画によってかつては困難だった精密な作業が可能になったためです。
素描から版画への変換が以前よりもはるかに簡単になったことも、凹版画が発展した大要因といえます。この分野で技術的に最高峰に達したのは、ドイツの画家アルブレヒト・デューラーです。

 

平版画

平版画は、平らな板の表面にインクを塗り、それを用いて印刷する技法のことで、リトグラフとも呼ばれます。独特の表現力と繊細なタッチで知られる平版画は、版画のなかでも特に印象的です。この技法は、鉛筆やインクを使って作品を制作し、平らな版に転写することで生まれます。
その起源は遠く、15世紀のドイツにまでさかのぼるとされます。繊細なラインや豊かな色彩、独特の質感を持つ平版画は、現代でも多くの人々に愛されている版画技法です。

 

平版画の特徴

平版画は、油が水をはじく性質を利用するものです。絵の部分とそうでない部分を描き分けて作られます。この原理は18世紀後半に発見され、芸術的なポスターが多く制作されました。石版に描かれたインクの厚みや濃淡を利用することで、豊かなトーン表現を可能にしたのです。平版画では、微細な線や滑らかなグラデーションが表現されています。

 

平版画の歴史

1800年代は、平版画が隆盛を極める時代でした。この技術革新は、主にフランスとドイツの職人による開発により、短期間で進展しました。なかでも、平版画を駆使した代表的な画家として知られるのがロートレックです。彼の歴史的なポスター作品である「ムーラン・ルージュ」は、パリのキャバレーを描いた作品として広く知られています。日本の浮世絵の手法を大胆に取り入れていることも、大きな特徴です。
同時代には、アールヌーヴォーの旗手である画家アルフォンス・ミュシャもポスター作品を発表しました。ロートレックとミュシャのポスターは大きな人気を博し、平版画はその黄金期を迎えたとされています。

 

孔版画

孔版画(こうばんが)は、メッシュ状に加工されたシルクスクリーン(絹網)を使用して制作される版画技法のことです。孔版画の特徴や歴史を紐解くことで、作品の世界をより深く理解できるでしょう。
また制作過程や技術も興味深いものがあります。孔版画は、どのようにして発展してきたのか、その歴史に触れながら、孔版画の不思議な魅力について解説します。

 

孔版画の特徴

孔版画(こうはんが)は、インクが透過する部分と透過しない部分がある版を作成し、それを用いて制作されます。この技法にはいくつかの方法があり、古くから知られるものはシルクスクリーンとステンシルでしょう。
孔版画は、複数のステンシルを使用して、複雑なカラフルなイメージやグラデーションを作り出すことが可能です。インクのタイプや色の組み合わせによって、幅広い色彩表現が実現します。

 

孔版画の歴史

孔版画の原点は古代中国の絹織物の印刷技術です。紀元前4世紀から紀元前5世紀にかけ、中国では絹糸に細かな孔を開け、これを経糸として染色する技術が発展しました。この染色技術は日本にも伝わり、平安時代から室町時代にかけて、日本では絹織物の装飾や屏風絵に孔版の技法が使われたとされます。
20世紀初頭になると、美術界ではシルクスクリーンが注目され始めました。特にアメリカでは、ポップアート運動や商業広告の分野で広く使用されたのです。作家たちは、大型のシルクスクリーンを使い、大胆でカラフルな作品を制作しました。現代では、シルクスクリーンは芸術家やデザイナーによってさまざまな分野で広く使われています。

 

版画の代表的な作品

版画の代表作これまでに、数多くの作家によって、版画作品が生み出されてきました。なかでもマルク・シャガールの『私と村』や斎藤清の『ミルク』、棟方志功の『大世界の柵』が代表的です。
本章では、これら3つの作品について解説します。各作品がどのような背景から誕生したのか、また作家自身はどのような人物であったのか、本章でチェックしてください。

 

マルク・シャガール:私と村

マルク・シャガールは、ロシア出身でユダヤ系の画家です。「色彩の魔術師」「愛の画家」とよばれ、数多くの幻想的な作品が生み出しました。代表的な作品のひとつが、『私と村』です。
作品が生み出された物語は、シャガールの生まれ故郷であるヴィテプスク(旧ロシア帝国、現在ベラルーシ)によって始まります。作品の右側にはシャガール自身が描かれており、左側に描かれた牛のような動物としっかりと向かい合っています。
作品に描かれているのは、人間と動物との深いつながりです。単なる人間と動物の関係を超えて、自然や生命の大きな循環が表現されています。シャガールはこのような自然観を故郷である「村」で見出したことから、『私と村』というタイトルになったとのことです。

 

斎藤清:ミルク

斎藤清は、1907年に福島県で生まれた版画作家です。幼少期に一家で北海道に移住しました。小さい頃から創作活動に長けており、小樽市にある看板店に就職したそうです。
24歳のときに上京し、広告ポスター制作の仕事をしながら、独学で油絵を学びます。29歳のときに安井曾太郎の木版画作品に感化され、木版画制作にも着手するようになりました。自身の木版画作品が展覧会で入賞するようになり、版画制作に傾倒していったとされます。
斎藤清の木版画作品『ミルク』は、1949年に開催された第1回サロン・ド・プランタン展でトップ賞を受賞した作品です。明快な色彩と平面的でシンプルな構成は、斎藤清の19401950年代の作風とされます。

 

棟方志功:大世界の柵

1903年に青森県で生まれた棟方志功は、自然美と人工美に深く魅了された人生を歩んできました。そのなかで、版画家の川上澄生の作品『初夏の風』に触れ、版画の道を志す決意を固めたそうです。鍛冶屋を手伝いながらも、祭りの灯篭や凧の絵に魅了され、版画作品への情熱を育んでいきました。そして、中学校の美術教師から洋画について学び、ゴッホに感銘を受け、日本のゴッホになることを目指しました。
『大世界の柵』は、棟方志功の代表作品です。同作品は彼の哲学と芸術観が凝縮されており、世界最大級の版画作品といわれています。巨大な作品を構成するのは、「大世界の柵・坤~人類より神々へ~」「大世界の柵・乾~神々より人類へ~」の2つの部分です。神々が住む天上の世界と、人間が暮らす地上の世界がそれぞれ表現されています。
彼の独特な版画技法は、力強い線と濃淡のコントラストによるものです。生命力のみなぎる作品の動きも、作品の特徴といえるでしょう。棟方志功が追求した、人間と自然の共存の理想を体現しています。

 

版画や絵画の買取りなら永寿堂へお任せください

版画や絵画の買取り店自宅の整理をしていると、飾っていない版画や絵画を発見することがあるでしょう。処分したいけど、方法にお困りの方は、絵画や版画の買取り店である永寿堂の利用を検討してください。版画や絵画だけでなく、茶道具やアンティーク雑貨など、さまざまな骨董品の買取りをおこなっています。
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骨董品買取専門店 永寿堂へのお問い合わせ先

・TEL:0120-060-510
・メール:info@eijyudou.com
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まとめ

版画とはのまとめイメージこの記事では、版画の魅力について解説しました。
版画と原画は、混同されることがしばしばあります。たとえるのであれば、原画は独り占めの一軒家であり、版画は多くの人と共有する分譲マンションといえるかもしれません。どちらも骨董品としての価値があり、大切な資産となります。原画は自分だけが持つ特別な絵画であるという特別感があります。一方、版画は有名な絵柄や好きな絵柄を手に入れやすく、より身近な芸術品と考えられるでしょう。絵画・版画は、作品ごとに異なる魅力があります。
自宅で飾っていない版画を処分したい方は、ぜひ永寿堂をご利用ください。

 

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