古い千円札のなかには、高い価値を有するものがあります。発行された年代や印刷された番号によっては、額面以上の価格で取引されることも少なくありません。
今回は、歴代の千円札に描かれた人物や価値について解説します。価値の高いお札の特徴も解説するので、買取を検討されている方はぜひ参考にしてください。
【目次】
歴代の千円札に描かれた人物の解説と価値
日本武尊千円札【甲号券】
日本武尊とは
日本武尊千円札の価値
聖徳太子千円札(B号券)
聖徳太子とは
聖徳太子千円札の価値
伊藤博文千円札(C号券)
伊藤博文とは
伊藤博文千円札の価値
夏目漱石千円札(D号券)
夏目漱石とは
夏目漱石千円札の価値
野口英世千円札(E号券)
野口英世とは
野口英世千円札の価値
古い千円札で価値が高いものの特徴
未使用で状態が良好
エラー紙幣
帯付き
珍しい紙幣番号
100番以内
ゾロ目
階段
アルファベットが1桁
Zで始まりZで終わる(ラスト番号)
骨董品の買取なら永寿堂へお任せください
まとめ
歴代の千円札に描かれた人物の解説と価値
これまで発行されてきた千円札には、以下のような人物が描かれています。
-
日本武尊
-
聖徳太子
-
伊藤博文
-
夏目漱石
-
野口英世
紙幣の絵柄は、財務省や日本銀行、国立印税局の協議のもと日本銀行法によって決定されたものです。明治14年(1881年)発行の「改造紙幣壱円券」以来、これまで合計17人の人物が紙幣に描かれてきました。(2024年4月現在)
古い千円札の価値は、発行された年代により異なります。まずは、種類やそれぞれの価値についてみていきましょう。
日本武尊千円札【甲号券】
日本武尊(やまとたける)千円札は、1942年(昭和17年)に発行された紙幣です。終戦直後から約1年間使用され、当時の貨幣史上最高額だったといわれています。
表面に描かれているのは、日本武尊の肖像画と建部神社です。裏面には、彩紋と「千圓」という額面が入れられています。
日本武尊千円札の発行枚数は、810万枚とごく限られたものでした。また、紙不足にあった台湾や朝鮮にも送られ、終戦後は即座に発行停止となったことから「幻の紙幣」と呼ばれています。
日本武尊とは
日本武尊は、天皇家の祖先とされる人物です。大和政権(大和朝廷)の列島統一のため戦い抜き、「古事記」や「日本書記」では英雄として描かれています。
物語のなかで登場する名は、「古事記」では倭建命、「日本書記」では日本武尊です。どちらも「ヤマトタケケルノミコト」と読みます。
ヤマトは国の名、タケルには「勇敢な人」という意味合いがあります。「ミコト(命、尊)」が高貴な人の名に添えられる敬称であることからも、日本武尊は当時の人々にとって尊ぶべき人物であったといえるでしょう。
日本武尊千円札の価値
日本武尊千円札は、発行枚数の少なさから「幻」ともいわれる紙幣です。運用期間も短く、市場に出回る数は非常に少なかったと考えられます。実際に、終戦後に発行停止となってからは二度と発行されることがありませんでした。
そのため、買取市場では希少性が高く評価される傾向にあります。状態が悪いものでも、10万円前後の値がつくこともあるでしょう。
聖徳太子千円札(B号券)
1950年(昭和25年)1月7日に発行され、1965年(昭和40年)1月4日に支払い停止となった千円札です。現在と同じ記番号形式が初めて採用された紙幣になります。
表面には聖徳太子、裏面には「法隆寺夢殿」と「四騎獅子狩文綿」の織物の一部が描かれています。「NIPPON GINKO」の文字と、透かしの「日銀」や「桜花」も特徴です。
大きさは76mm×164mmと、現在の千円札より若干大きく作られています。後述する「伊藤博文」や「夏目漱石」の千円札と同様、現在も使用できる紙幣です。
聖徳太子とは
聖徳太子は、日本紙幣の肖像画にもっとも多く採用されている人物です。千円札のほか、百円札や五千円札、一万円札にも描かれています。
皇族の一員であった聖徳太子は、6世紀の終わりから7世紀のはじめまで政治家として活躍します。604年(推古天皇12年)には、日本初の憲法「十七条憲法」を作りました。
さらに、仏教を保護し中国から大陸文化を採り入れたことで知られています。国内外で数多くの功績を残したことが肖像画に採用された大きな理由といえるでしょう。
聖徳太子千円札の価値
前述したように、聖徳太子の千円札は現在も使用できるお札です。そのため、買取市場では価値が付きづらい傾向にあります。査定でも額面通りの価格になることが多いでしょう。
ただし、状態が良く使用感が見受けられない場合は、額面より高い値で取引されることもあります。業者により対応は異なるため、判断に迷う場合は査定に出してみることをおすすめします。
伊藤博文千円札(C号券)
伊藤博文千円札は、1963年(昭和38年)から1986年(昭和61年)まで、およそ129億6,000万枚が発行されました。その間に記番号が一巡したため、当初は黒色だった記番号は、1976年(昭和51年)から青色へと変更されています。
表面に描かれているのは、伊藤博文の肖像画です。左端には日本銀行総裁の印章が確認できます。裏面には「日本銀行本店旧館」が描かれています。国の重要文化財であり、現在の日本銀行のなかでもっとも古い建物です。
印刷には、当時問題となっていたニセ札の流出を防ぐため、ドイツから導入した最新鋭の印刷機が使用されています。印刷色も多く、他の紙幣にはない色鮮やかな見た目が特徴です。
伊藤博文とは
伊藤博文は、日本の初代総理大臣となった人物です。明治維新以降、日本を近代化へと導きました。
1841年(天保12年)、現在の山口県に農民の子として生まれた伊藤博文は、父が伊藤家の養子となったことをきっかけに下級武士の身分を得ます。その後は松下村塾で吉田松陰の教育を受け、22歳のときにイギリスへと留学しました。
44歳に初代総理大臣に就任した伊藤博文は、その後も3度総理大臣を務めます。「44歳で総理大臣になる」という最年少記録は、いまだ破られていません。
また、伊藤博文は憲法制定の中心となった人物でもあります。国の主権を天皇に置いた「大日本帝国憲法」は、1889年(明治22年)に発布されました。
伊藤博文千円札の価値
多くの枚数が発行された伊藤博文千円札は、発行時期により価値が異なります。
価値が高いのは、初期に発行された紙幣です。なかでも、記番号がアルファベット1桁の紙幣は高値が期待できます。
その他の千円札は、額面通りの評価が一般的です。珍しい数字や印刷の場合は希少性が評価されるため、査定で価値を確かめてみることをおすすめします。
夏目漱石千円札(D号券)
夏目漱石千円札は、1984年(昭和59年)から2007年(平成19年)まで、およそ23年間発行された紙幣です。記番号の色も複数あり、古いものから黒色、青色、褐色、暗緑色へと変化しています。
表面に描かれているのは、夏目漱石の肖像画と日本銀行総裁の印章です。裏面には、特別天然記念物である「タンチョウ」が向かい合うかたちでデザインされています。
視覚障害者が触って券種を判断できるよう、識別マークが施されていることも大きな特徴です。サイズは従来のものより14mm縮小され、偽造対策のため、マイクロ文字や特殊発光インキなどが用いられています。
夏目漱石とは
夏目漱石は「吾輩は猫である」、「坊ちゃん」などで知られる小説家です。本名は金之助で、漱石のペンネームは「漱石枕流(そうせきちんりゅう)」という四字熟語に由来しています。
1890年(明治23年)、現在の東大文学部である帝国大学文科大学に入学した漱石は、俳人である正岡子規と親交を深めます。大学卒業後は愛媛や熊本で講師として働き、1900年(明治33年)にイギリスヘ留学しました。
帰国後、現在の東京大学にあたる東京帝国大学の講師に就任した漱石は、心労が重なり神経衰弱へと陥ります。処女作「吾輩は猫である」が誕生したのは、その様子を目にした俳人、高浜虚子から執筆の勧めがあってのことです。
日本紙幣は、夏目漱石の千円札を含む「日本銀行券D号」から肖像画に文化人が採用されています。
晩年まで優秀な作品を発表し続けたことがが、文化人である漱石が紙幣に描かれた大きな理由といえるでしょう。
夏目漱石千円札の価値
夏目漱石千円札は、長期にわたり発行された紙幣です。2007年(平成19年)に発行停止となっているものの、現在も若干の流通がみられます。そのため、買取市場では額面以上の価格にならないケースがほとんどです。
高値が期待できるのは、エラープリントやゾロ目などの紙幣です。発行枚数が多いぶん、稀にそのような紙幣が紛れている場合があります。夏目漱石千円札が手元にある場合は、印刷や記番号などをチェックしてみてください。
野口英世千円札(E号券)
2004年(平成16年)発行以来、現在も使用されている千円札です。発行は2022年(令和4年)9月に終了しています。2024年(令和6年)には日本銀行での払い出しが停止し、北里柴三郎(きたざとしばさぶろう)へとデザインが一新される予定です。
紙幣の表面には野口英世、裏面には逆さ富士と桜が描かれています。また、さまざまな偽造防止技術が採用されていることが特徴です。深凹版印刷や潜像模様などにより、偽造対策が強化されています。
発行枚数は多く、夏目漱石千円札と同様に記番号の印刷色は度々変更されました。古い順から黒色、褐色、紺色の印刷色を確認できます。
野口英世とは
野口英世は、1876年(明治9年)生まれの細菌学者です。1歳半のときに左手に大やけどを負うものの、周囲の励ましと援助を受けその苦難を克服します。その後受けた左手の手術が、医学の道を志すきっかけになりました。
1897年(明治30年)、英世は20歳で医師の資格を取得します。その後は高山歯科医科大学をはじめ、順天堂医院や伝染病研究所、横浜海港検疫所などに勤務しました。
後に、アメリカのロックフェラー医学研究所へ拠点を移した英世は、活躍の場を世界へと広げます。各国から勲章が贈られ、ノーベル賞候補にも名を連ねた人物です。
晩年は黄熱病研究のため度々アフリカヘ赴くものの、研究途中に自ら黄熱病に罹り51歳で命を落とします。原因究明に目途をつけ、帰国しようとした矢先のことでした。
科学者が肖像画に採用されるのは、野口英世が初めてのことです。偉大な功績と知名度の高さなどがその理由とされています。
野口英世千円札の価値
野口英世千円札は現行紙幣のため、ほとんどが額面通りの価値になります。
買取市場で額面以上の価値になるのは、印刷や番号が珍しいものです。印刷色が褐色の紙幣や、7のゾロ目の紙幣などが該当します。
印刷技術の進歩もあり、野口英世千円札のエラー紙幣はほぼないといわれています。見つけた際は、ぜひ買取市場での査定を検討してみてください。
古い千円札で価値が高いものの特徴
価値のある旧千円札には、以下のような特徴があります。
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未使用で状態が良好
-
エラー紙幣
-
帯付き
-
珍しい紙幣番号
特に、未使用品で状態の良いものは価値が高くなりやすい傾向にあります。発行枚数が多い紙幣も、エラー紙幣であれば価値が上がるため、ぜひチェックしてみてください。ここでは、珍しいとされる紙幣番号の種類についても紹介します。
未使用で状態が良好
未使用で状態が良好な紙幣は、コレクターから高く評価されます。買取市場での評価も同様です。折れや破れ、汚れがないものほど高額査定が期待できます。
特に、発行年数が古い紙幣であるほど状態の良さはポイントになります。保存状態が良いことで、紙幣の希少性がさらに上がるからです。旧千円札が手元にある場合は財布にしまうのではなく、折り目がつかない状態で保管することをおすすめします。
エラー紙幣
エラー紙幣とは、印刷ズレや裁断ミスなどがある紙幣のことです。記号が違っていたり、絵柄が違っていたりする紙幣もあります。
これらの紙幣は、通常であれば製造過程で取り除かれます。そのため、市場に出回ることはほとんどありません。それだけに、買取市場では高値がつきやすい傾向にあります。
特に価値が高いのは、本来であれば裏に印刷されるデザインが表だけに印刷された「裏写り」と呼ばれるエラー紙幣です。この場合、旧千円札が数万円で取引されることもあります。
帯付き
帯付きとは、100枚単位で1つの束にまとめられた紙幣のことです。紙幣をまとめる「紙帯」は現在も保管用に用いられます。
手元に帯付きの旧千円札がある場合は、帯を外さず買取に出してください。1枚では価値がない旧千円札も、帯付きであれば額面以上の値が期待できます。そのなかに以下で紹介するような珍しい番号が混ざっていれば、価値はさらに高まるでしょう。
珍しい紙幣番号
珍しい紙幣番号には、以下のようなものが挙げられます。
-
100番以内
-
ゾロ目
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階段
-
アルファベットが1桁
-
Zで始まりZで終わる(ラスト番号)
通常何気なく目にしている紙幣にも、これらの番号が混ざっているかもしれません。特に、発行枚数の多い紙幣は、紙幣番号をチェックしてみてください。該当すれば額面以上の評価が期待できます。
100番以内
紙幣番号が100番以内の旧千円札は、通常であればほとんど市場に出回りません。存在しても博物館や施設などに寄贈されています。「お宝紙幣」と呼ばれ、かなりの高値が付く品です。
過去には、紙幣番号が10番以内の一万円札に300万円の値が付いたこともあったといいます。旧千円札を買取に出すときは、紙幣番号にもぜひ注目してみてください。
ゾロ目
「222222」「555555」など、記番号に同じ数字が並ぶゾロ目の記紙幣は高値で取引されます。特に、縁起が良いとされる「777777」は人気です。発行枚数が多い紙幣でも高額査定が期待できます。
2種の数字が並ぶ「準ゾロ目」にも注目してみてください。「002222」「055555」なども、希少性の高さが評価されます。
階段
まるで階段を上るように数字が増える「123456」の記番号もコレクターから人気です。数字が下がる「654321」は逆階段と呼ばれ、こちらも高く評価されます。
また、旧千円札が手元にある場合は、キリ番にも注目してみてください。キリ番とは、「10000」「20000」など、キリの良い数字で構成された記番号のことです。ほかにも、「133331」など、始まりと終わりの数字が同じサンドイッチ番号も額面以上の値が期待できます。
アルファベットが1桁
記番号は、「A123456B」のようにアルファベットと6つの数字で構成されています。始まりのアルファベットは、A~Zまで一周すると「AA123456B」のように2桁になるのが特徴です。
アルファベットが1桁の記番号は、紙幣が初期に発行されたことを意味します。そのぶん希少性が高く、買取時も高値が付きやすいことが特徴です。場合によっては、額面の1.5~2倍の値で取引されます。
Zで始まりZで終わる(ラスト番号)
ラスト番号とは、「ZZ900000Z」のようにZで挟まれた記番号のことです。前述したように、記番号のアルファベットはA~Zまであります。つまり、ラスト番号の紙幣は、記番号最後にあたる紙幣ということです。「ZZ券」と呼ばれ、査定額が上がりやすい傾向にあります。
反対に、アルファベット「A」で挟まれた記番号の紙幣は「AA券」と呼ばれます。こちらも希少性が評価されるため、見つけた際は査定を検討してみてください。
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まとめ
古い千円札は、発行された時期により価値が異なります。年代が古いもの、発行枚数が少ないものほど高値で取引されるのが特徴です。
また、印刷された記番号も査定額に大きく影響します。100番以内の希少性の高い番号やゾロ目であれば、年代の新しいものでも高値が期待できるでしょう。
保存状態が良いことも大切なポイントです。手元に古い千円札がある場合は、折り目や汚れがつかないよう丁寧に扱ってください。
古い千円札の価値を知りたいときは、買取業者への査定依頼がおすすめです。思わぬ値がつくこともあるため、ぜひ一度専門業者に相談してみてください。
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